
ヨーロッパに行って尋ねたかった2枚目の絵は、左ページの、アルト
ドルファー:”アレクサンドロス大王の戦い”です。勿論最初に見たのはモ
ノクロの美術全です。驚くことにこの本、昭和26年の出版で、戦後まもな
くです。隣家の書斎にあったのを、小学生ながらたびたび見せてもらった。
絵の興味はここからでしょう。なんだか子供ながら引き付けられて、記憶
の奥底にありました。この全集は神保町で大人になってから手に入れました。
夜行でミュンヘンの駅に朝8時に着いて、駅の食堂でミュンヘンビールを
1っ杯。これはご挨拶。アルテ・ピナコテークは駅のすぐそばだ。本物は広
大な風景が動いているようで、確かに良かったが、クラナッハの婦人像の
方が強く印象に残った。これがまた中世美術の関心につながっていくのだ
から、面白いものだ。

この絵は、風景画の最初と言われている、”ヴェルト城の見えるドナウ川”
です。風景画発祥の1枚と思い、載せました。空気遠近法を使って、”神”も
いない人物もいない奥行きのある風景、という事で”最初の風景画”になって
います。
1520~1525年頃、木板、油彩、30×22㎝。